一日一想

141文字以上の雑多な話題

あの頃、僕らは夏だった

 

 

 

あの頃、僕らは夏だった

あの頃。春は桜に想いを馳せて、夏は川辺で水を被る。秋は銀杏の落ち葉を踏み歩き、冬は雪に笑顔を咲かせる。あの頃の僕らは、夏をも厭わぬ心身で、目の前にあるものを受け入れ、目の前にあるものを楽しんでいた。

 

 

今では、僕らは秋でもない

今では。春が来れば花粉症を忌み、夏は猛暑に打ちひしがれ、秋は寒暖差に恐れ、冬は凍えて布団で凌ぐ。今では僕らは、秋ですらも喜びを感じられない心身となってしまったような気さえする。

 

 

これから、僕らは

今更あの頃の夏のようにはなれないかもしれないけれども、季節が変われば季節を恨み、時世が変われば時世を恨む、そんな繰り返しはなるべくやめて、うつろう季節を、変わりゆく時間を少しでも楽しめれば、僕らは春くらいにはなれるのかもしれない。